料理人の中には和食なら和食、中華なら中華というように一つのジャンルで長年修行し究極まで極める人もいると思います。
そんな人はそのジャンルにおいて知識と技術が抜きに出ることはまちがいないでしょうし、転職するにしても困ることはないはずです。
しかし自分で独立してやっていこうとしたら、それ一本で勝負する前に他のジャンルの料理もかじっておくのもいいかもしれません。
一つの分野の料理を極めるということ
何をもって料理を極めるというのかは人それぞれかもしれません。
私の考えをざっくり言ってしまえば、どんな食材でも使いこなし最上級の料理に仕上げることができる。
そして高級食材から一般的ものまで食材のもつ性質を活かしきり料理に仕上げることができる、また食文化や食の歴史についても見識がありそ、れもふくめてプレゼンテーションできる能力があることだと考えています。
これらの能力があればどこへいっても通用する一流の料理人であるはずです。
一流であるがゆえの欠点
和食の職人さんの中には他のジャンルの料理には意外にも疎い人がいます。
他のジャンルに感心がなかったのか、手を付ける余裕がなかったのかはわかりませんが、私はそんな人に何人か出会いました。
確かに和食の腕は一流なのです。おせちもできる。季節に合わせた献立もお祝い事のお食事もできる。
でもそのへんに歩いている高校生でも知っているパスタを知らない。
カルボナーラが何かわからないんです。
私がまかないでカルボナーラを作る時「ニンニクの芽いる?」とか聞いてきくるぐらいのレベル。
和食を作らせたら一流でもこれでは胸を張って料理人といえないのではないでしょうか。更に言うならこんな人が独立するのは無視できないリスクがありそうです。
単一的なお店の危うさ
例えば上記のような職人が独立しお店を出したとします。
コテコテの日本料理屋で客単価も上々、人気も出るでしょう。
しかし近くに同じようなお店ができてしまったとしたらどうなるでしょうか。
しかもそちらの方が少し安いとしたら。
簡単に考えるだけでも売り上げを半分は持っていかれてしまうでしょう。
しかしここで和食だけでなく他の料理の要素も取り入れて料理のオリジナリティを出し他のお店と差別化できたとしたら、顧客の流出を防げるかもしれません。
自分の技術を多様化することで料理のオリジナル性を出す
料理のアレンジが比較的簡単にできてなおかつインパクトがあるのは他国料理との融合だと思います。
これは今ではどんな高級店でもどんな大衆的なお店でも取り入れている方法です。
京料理屋の献立にカタカナが並んでいるのもその方法の一つのはずです。
日本料理にこだわったお店でも海外の素材を取り入れることは、それだけ有効でお客さんの目を引きやすいという事なのです。
流行を追うためにも技術の多様化は必須
その時によって流行っている料理や注目を集めている食材は異なります。
例えば和食だけしかやっていない場合、全く手を付けられない食材や料理が流行っている事があるはずです。
その時のブームに乗ることは飲食店を経営していく上では重要度が高く、それに手を出せないことは非常に損をしている事になります。
個人で起業するならなおのこと。
競争の厳しい中では少しの可能性さえもないがしろにはできないはずです。
料理は多様化させやすい
人々の時代によって変わるニーズに合わせ、流行るお店のスタイルが常に変化しています。
お客さんの流れは常に変わってしまう中で、お客さんをどこまで留める事ができるかがその飲食店を存続させるカギになってくるでしょう。
お客さんは常に新しいものを求め飽きたものには目もくれません。
正統派日本料理は確かにいつまでもニーズがあると言えますが、ライバル店ができたら、結局切磋琢磨しなければならないのです。
料理は変えることができますがお店のスタイルを変えるのは費用もかかりますしリスクが大きいです。
鉄板焼き屋だったのを立ち飲みが流行っているからといって突然スタイルを変えるのは1日2日でできるものではありませんん。
変化が欲しいなと思ったらまず料理見直すことが一番近道なのです。
もちろんお客さんを引き寄せる手段は料理にこだわる必要はありませんが料理人を長年やっている人であれば自分の腕を試したいところです。
自分の腕を信頼するのはいいことですが、忘れていけないのは時間と共にニーズは変化するということ。
変化に合わせていけるように自分の技術にもできるだけ幅広い多様性を持たせておくと成功につながりやすいのではないでしょうか。
起業の準備期間中の空いている時間にのぞく程度でも経験者ならある程度技術を吸収できるはずです。
起業前の自分の知らないジャンルの勉強、おすすめです。