卒業すると調理師の免許が取得できると調理師学校。
授業では専門的な調理や衛生管理の知識など調理師に関わるいろんなことが学べますが、学校というだけあって定期的な試験もあります。
私も学生時代通っていましたが始めて実技試験は忘れもしない出来事がありました。
始めは基礎的なことから
調理師学校に入るとまず始めに実技の修行で教えられるのが包丁研ぎ。
洋食の牛刀や中国料理の大きな包丁、魚をさばく出刃包丁などいろいろな包丁の研ぎ方を教えられます。
料理の基礎の基礎である材料のカットをするためには包丁がよく切れないときれいに切れませんし、切るスピードも遅くなって仕事になりません。
包丁研ぎが出来ないと何処の職場に就職しても仕事が出来ない人になってしまうので、私の卒業した学校だけでなく必ずどの調理師学校でも最初に教えられはずです。
私の場合、入学して始めの1ヶ月間の実技授業は包丁研ぎと材料の基本的な切り方の講習ばかりでした。
授業の前半に包丁を研ぎ、後半でその研いだ包丁で材料を切る練習をするという流れ。
1クラス40人ほどがみんな自分の砥石でシャカシャカ音をたてて研いだり、毎回学校側から提供される一本の大根をいろいろな型に切って勉強します。
材料の切り方は基本的なもののほか、和食、洋食、中国、それぞれの分野で特殊な切り方を勉強しました。
和食では大根の桂剥きや里芋の六方剥き、洋食では人参のシャトー剥きやマッシュルームの飾り切り、中華では人参で鳥や亀を型取ったりといろいろ。
どれも結構難しいので始めは苦戦しますが、人によっては帰宅後に自分の家でも練習したりするので上達が早い人もいました。
実技試験はつま作り
調理師学校の初めての実技テストは大根を桂剥きにし、さらにごく細く切り大つまを作るというもの。
つまりよくお刺身の後ろに添えてある白いアレです。
これは包丁がよく切れないと絶対できませんし、包丁がよく切れたとしてもよく練習しないとうまくできません。
大根の桂剥きを薄くできるようになるために一定量の練習は必要ですし試験にはスピードも必要になるのでさらに難易度は高くなってきます。
なので実技試験に合格するためには事前によく包丁を研いでおくのはもちろん、大根のつまをマスターしておかなければ試験には合格できません。
私もこの大根の桂剥きは苦手で学校だけでなく自宅でも練習したおぼえがあります。
就職して仕事するようになってからは桂剥きもなんなくこなせるようになりましたが、学生の頃はまだまだ素人に近く何本も大根を買って練習しました。
実技テストの結果
練習したかいあって私は実技試験になんなく合格しました。
所要時間も決まっていましたが余裕でクリアしたのです。
試験の合否は先生がそれぞれの生徒が作ったつまを見て周り採点するのですがつまの細さや量が採点基準。
基準に満たされていなければ不合格で追試を受けなければいけません。
人によっては出来が悪かったり量が少なくて合格できなかった人もいました。
クラスのとんでもないお兄さん
試験が終わると同級生のみんなで試験のことを話しましたがあるお兄さんがとんでもないことを言っていました。
そのお兄さんは私より4歳年上で大学卒業してからこの調理師専門学校に入った人。
なので高卒から入学したクラス内ではみんなより年上でちょっと雰囲気の違う存在です。
そんなお兄さんが言っていたのはなんと試験中に包丁で手を切ってしまったというのです。
大根の桂剥きをするときに手が滑ってしまい怪我をしたのでしょう。
出血したと言っていましたがそれでも桂剥きを続けとのこと。
そして出来上がったのが血で真っ赤に染まった大根のつま。
大根はもともと真っ白ですが血が出ている手でつまをつくったらそうなるのは当然です。
しかしそれでもそのお兄さんは試験に合格したというのです。
いくらつまの出来がよくても血が着いて真っ赤では合格にはならないはずですがどういうことでしょうか。
お兄さんに真相を聞くと、なんと試験終了間際に隣で試験を受けていた生徒が作った大根のつまを少しもらったとのこと。
血が出てかなり焦ったらしいのですが最後の最後にひらめいたと言っていました。
さすがに年上だけあって機転がきいたようです。
調理師学校の初めての実技試験はこんな感じでした。
卒業するまでに試験は何回かありその度に難易度が上がっていきますが、真面目に練習しさえすればまず大丈夫。
むしろここでくじけたら就職後の現場が大変かも知れません。