妊娠の安定期であればルンルン気分で街を歩き買い物を楽しめるかもしれませんが後期にはいって臨月が近づいてくるとそうもいってられません。
特に私たちの場合、単体妊娠よりリスクのある双子妊娠。
それに加え年齢も37歳と若くないので心配することはたくさんあるのです。
しかしそれでもやむをえず大きいお腹を抱えながら外出しなければならなかったり、思いもよらない屋外でのトラブルは少なくありませんでした。
草原をひたすら歩く
中国内モンゴルのとある田舎に住み牧畜業を営む妻の親。
妻が妊娠7ヶ月に入ろうという時に1週間ほど家を空けたいというので私たち夫婦は替わりに家畜の世話をすることになりました。
家畜の世話の中で主な仕事である牛の放牧は妻の兄弟がやってくれるということで、私たちが請け負ったのは家の敷地内にあるブタや犬猫の世話など楽な仕事。
まあお腹の大きい妻ですから負担のかからない仕事だけ残してもらったんですね。
私たちは爽やかな風が吹く草原に囲まれた家でのんびりできる休暇がはじまったと思っていたわけです。
始めは時間を持てあまし、実家内の片付けものをしていた私たち。
昔の写真や使っていたものなどをひっくり返していましたが何日かしたころ牛の放牧を担当していた兄弟達も半日ほどお外出することになり牛の世話も一時的にすることになりました。
牛の放牧は基本ほかりっ放しでいいのですが、食べる草を求めて危険なエリアに行ってしまったり群れからはぐれてしまった牛を探し出さなければいけないときもあります。
ちょうどその時も群れから何匹かの牛がはぐれてしまいやむをえず妻と私はは大きなお腹を抱えて草原に。
妊娠満6ヶ月ですが普通に見れば8ヶ月は経っているんじゃないかという二人入ったお腹を揺さぶらせながら妻は牛を探し出しどんどん追い立ていきます。
ちょっとやそっとじゃへこたれない性格の持ち主の妻は、真夏の強い太陽にさらされながら草原を歩きまわり仕事を完了させました。
牛を追い立てるうちの妻↓↓↓
涼しい気候の内モンゴルですが、太陽光は強いため日光にさらされれば体力の消耗は激しくなります。
暑い中、かなりの距離を歩いた妻は疲れてバテてしまいその夜はぐったり。
お腹の子に影響はなさそうですが、万一を考えると無理はやめてほしいと思う私でした。
エアコンのない病院で
日本だったらどこの産婦人科でもエアコンが設置されていて検査も気持ちよくできると思いますがこの地域はそんなものはありません。
冬の厳しい寒さには対応できるよう暖房は完備されていますが、冷涼な夏用の冷房設備はないところが多いのです。
しかしそんな夏でも気温は40℃を超すときもあります。
気候は乾燥しているのでそんな日でも日本のようなうっとおしい蒸し暑さを感じることはありませんがそれでも40℃は40℃。
冷房設備もあっていいのではないかと思うぐらいその日の病院内は暑かったです。
そんな病院を検査のために歩まわった妻はエコー検査をするためのベットにもじっとしていられないほど体力を消耗。
仰向けになると大きなお腹の重さがもろに来て息が切れてしまうそうになっていました。
なんと走り出す
お恥ずかしい話ですが妻の妊娠中、何度かケンカはしてしまいました。
そんな中の一番激しかったときのこと、ケンカの最中妻は怒って家を飛び出していってしまったのです。
分からず屋の妻が頭に来ていましたが、家にポツンと残され我にかえった私。
ケンカの原因はともかく妊婦を激情させてしまったという自責の念にかられ、妊娠8ヶ月で大きなお腹を抱えていた妻をダッシュで追いかました。
私は妊娠8ヶ月のお腹を抱えているとは思えないほどのスピードで歩く妻に追いつき家に戻るように言いましたが妻は聞きません。
何度もあやまり許しを乞う私を避けるように歩いていく妻は、あまりしつこくする私を遠ざけようと途中からなんと走り出したのです。
大きなお腹をおさえながら走るショックをやわらげようとガニ股で走っていく妻の姿をちょっとコミカルでかわいく感じましたが、そんなことも言ってられず静止を促す私。
駆けよる私からさらに遠ざかろうとまた走り出す妻。
こんな繰り返しではいけないと思い、しょうがなく追いかけるのをやめ妻が遠ざかっていくのを見つめながら安全を祈りました。
結局数時間後に妻は帰宅しましたが、お腹がちょっと痛いということで安静に。
しばらくしたら良くなりホッとしましたが、その夜一晩はお説教がやみませんでした。
臨月だってスーパーへ
高齢でしかも双子なので、できるだけ家で安静にしなければならないのはわかっています。
でも調子のよいときは外に出て体を動かしたいのが妻の性格なんです。
空いている時間に二人で買い物をするのは妊娠する前からの習慣でしたし、妻も置き去りにされるのをいやがるのでお腹が大きくなってもしょうがなく一緒にスーパーへいくこともしょっちゅうありました。
人ごみの少ない時間をねらっていくのですが、それでも人の多い中国のスーパーはいつもそこそこの客数。
割り込む人も多いのでぶつかってしまわないように十分気をつけなければいけません。
私は妻にピッタリはり付いて商品を手にしたり、荷物持ちをやりながら周りに気を使ってはいましたが、突然の割り込みや子供の飛び出しなどひやっとする場面は幾度となくありました。
高齢で双子妊娠とはいえ産婦人科の先生からは特に安静にしろとはいわれていなかったので、一番気をつけなければいけないと言われていた妊娠初期以外は臨月でも外出は頻繁にしていました。
軽めの夕方の散歩から「大丈夫かなー。」と心配するような体に負担のかかりそうな行動までさまざまなシチュエーションがありましたがヒヤヒヤしながらも結局は出産までこぎつけました。
また、外出をいやがり家に閉じこもっていいれば絶対安全というわけではないはずです。
特に私たちのように激しくけんかなんかしてしまったら家の中も外も絶対安全とはっきり言い切れるわけではないですから。
なので妊娠中の外出に関してはできるだけ妊婦の思うままにさせるのも一つの方法です。
誰よりも自分の体調をわかっているはずですし好きなようにさせるのはストレスの解消にもなりますし。
そしてそれにともなう安全の確保や危険の回避は夫がしてやればいいのです。
仕事も忙しいでしょうができるだけ付き添い、妻の妊娠中は家事を手伝って負担を減らしてあげるのです。
情緒や行動が不安定になりがちになる妊婦との生活は普段より気配りが必要ですが、子供が生まれれたらそんなことも良い思い出として過ぎ去ってしまうはずですよ。