飲食店で働く人の中には痛くて指が曲がらなかったり手が痛くて包丁が握りにくいといった人が多いのではないでしょうか。アクティブワークである飲食業界では腱鞘炎に悩む飲食業従事者が多く職業病の一つと言えます。日常的に体を酷使する飲食業従事者では体に負担がかかりやすくこのようなケガをしてしまいやすいのです。
腱鞘炎とは
腱鞘炎は人の体の色々な部分で起こりえますが、ここでは飲食業従事者が比較的痛めやすい手指の腱鞘炎を例にあげます。
指には指を動かすため腱が通っていてその腱は腱鞘というトンネル状の物の中を走っています。手指を酷使し腱への負担が増大することによって腱や腱鞘が炎症をおこし腱鞘の中を腱がスムーズに通らなくなります。これが指の曲げ伸ばしが困難になったり痛んだりする原因です。
飲食業では毎日の包丁仕事やフライパンをふりつづけるなどの過負担によって手や手首の腱や腱鞘が炎症をおこして腱鞘炎になってしまいやすいです。
症状
初期症状では痛みを感じなくても指の曲げ伸ばしに違和感を感じたりすることもあるようです。また腫れぼったかったり熱を持っているように感じるような時もあります。
症状が進んでくると手を使っているときに痛みを感じますが、手を使うのをやめれば痛みは無くなることもあります。
何も持っていない、何もしてなくても痛みがある程であればだいぶ進行しているようです。
その他には手指の腱鞘炎では指の曲げ伸ばしが困難になり曲げる時にかくっとまがる「バネ指」があります。
治療
一般には整形外科で治療することが多いようです。患部を1、2週間安静にすることが治療の最善の方法です。症状がひどいようであれば薬剤注射をしたり手術をしたりします。
初期症状であれば冷やす治療法が効果的とされています。
予防
腱鞘炎は手や手首に過度に負担がかかることでなりますが、飲食業では同じ作業を連続して行わなければいけないことが多く体への負担は避けにくいものです。しかし負担を和らげることはできます。負担のかかりやすい仕事を交代制にするなど分担して行ったり、体の大きくてしっかりした人が担当するなどです。また仕事の合間に曲げ伸ばしのストレッチなどを行い筋肉や腱の緊張をほぐすのも効果的と言えます。これにより血行を促進させ凝り固まっている箇所をリラックスさせるのです。
このように同じ部分に負担がかかる仕事を長時間しないことが腱鞘炎の予防につながります。
労災
飲食業では包丁で指を切ったり火傷にたいしては労災と認定されやすいですが腱鞘炎ではそうでもないのが現実です。なぜなら生活の中でも当然手を使うため私生活で痛めたのか仕事中に痛めたのか判定しにくいからです。
飲食業従事者では痛みを我慢しながら仕事をすることもあるはずです。しかしこれ以上症状が進行しないためにも治療したり働き方を考えるなどすることが大切です。職場では誰でも腱鞘炎になるリスクを抱えています。スタッフで話し合い少しでも負担を軽減する対策を立てたほうが良いでしょう。