今度日本で後悔される映画「バット•ジーニアス危険な天才たち」についての記事です。
2017年本国タイや中国でもヒットしたこの映画は大学入試で実際に起きた大規模な集団カンニング事件を題材としていて、これについて調べてみました。
ここではこの映画の基本情報やその元となった集団カンニング事件について紹介します。
「バットジーニアス 危険な天才たち」映画情報
制作国:タイ
監督:ナウタット•プーンピリヤ
キャスト:チュティモン•ジョンジャルーンスックジン、チャーノン•サンティナトーンクン、ティーラドン•スパパンピンヨー、イッサヤー•ホースワン
タイ上映年:2017年
「バット•ジーニアス 危険な天才たち」のあらすじ
転校してきた天才少女リンは成績の弾まない生徒にカンニングをさせてくれとせがまれる。
始めは可愛いものだったがそのうち生徒から金銭と引き換えにカンニングを要求されるように。
片親家庭のリンは誘惑に負けて要求をのみ、ピアノの弾き方になぞらえたハンドシグナルによって答えを伝え方を編み出しカンニングの主犯を続けて行く。
リンのカンニングを利用するものは次々に増えていきビジネスになっていくが、ある時リンと1,2を争う成績のバンクにカンニングをにらまれ、それが元で学校にバレてしまう。
奨学金を剥奪されたリンだがカンニングの仲間からアメリカのSAT試験のカンニングの話を持ちかけられ‥。
バットジーニアスの元となった事件の全貌
大規模なカンニングが行われたのは映画のとおりアメリカの大学入試の標準となっているSATと呼ばれる試験においてです。
まずこのSATについてですがこれはアメリカの大学委員会(College Board)主催のテストで世界の拠点で開催されています。
SATは日本でいうセンター試験のようなもので、その成績は世界各国の高校生のアメリカ大学の入学資格や奨学金取得の重要な参考に。
アメリカでは試験の実施回数が多く、毎年3月、5月、6月、10月、11月と12月に行われそれぞれの第一土曜日が試験日となっています。
実際にカンニング事件のあったのは2014年10月のSAT試験。
当時の学生にとって異例であったのはまず試験日が例年通りの第一土曜日ではなく、第二土曜日とされていたことでした。
そしてさらに2014年7月24日香港の試験会場で試験を受けるはずだった学生達に突然College Boardからメールが届きます。
内容は「ある原因で10月11日に開催するはずだった試験を10月25日に遅らせる」というもの。
「試験が2週間遅れればそれだけ勉強す時間が増える、別に悪いことではない。」というのが一般の見解かもしれませんが、当の生徒達には緊張がはしります。
なぜなら10月25日が試験日になれば試験の成績の資料が大学入学早期申請の期日である11月1日に間に合わない可能性がでてくるからです。
これを受けて香港で試験を受けるはずだった学生達は次々にアジアの別の地区で試験を受けるために手続きをし始めます。
まさかこれが災難の種となることを知らずに。
2014年10月11日事件当日、学生達は無事に試験に参加することができました。
しかしこの学生達に不幸が襲います。
突然、試験日の最中ネット上に何者かがこのSATの試験問題をアップ。
それも過去の試験問題や模擬問題ではなくまぎれもないその時の試験問題の原物をです。
試験機関はこの異常事態により成績の発表を遅れさせざるをえませんでした。
しかもその当時は成績発表がいつになるかめどがつかない状態で受験生達に多大な影響を及ぼします。
間もなく入学を希望している大学へ申請しなければいけないのに肝心なテストの成績が発表されず焦る生徒、や家族、学校の先生や留学を請け負っている機構などこの一時の影響ははかり知れないものです。
この事件が発生しすぐに各国のたくさんのメディアが取り上げました。
その中の一つのメディアがタイの教師がCollege Board宛に書いた手紙のことを取り上げたことに注目が集まります。
手紙にはその教師がSATの試験管を務めたときのことが書いてあったそうです。
それにはその教師が監督をしていた試験場内で受験番号が連番で10人ほどまとまった中国受験生の一人がケータイを持っていたことを発見したということ。
そしてその携帯を没収し確認したところ試験問題の正確な回答がしきりに送信されていたと書かれていたのです。
その受験生の供述ではテストの回答は中国の補講塾の教師が送ってきたといい、その回答は別の人がオーストラリアで受けた試験のものだといいます。
この事件に関わっていたのは何十もの補講塾機構がかかわっていたといい、それによって1万人余りの受験生に影響が及んだということです。
最終的には教育機構であるETSがこのカンニング事件を調査し、関わっていた生徒の成績を取り消しました。
「バット•ジーニアス危険な天才たち」ネタバレ含む感想
カンニングと言ったら小さい紙切れを用意したり、隣の子の答案をのぞいたりっていうくらいのことしか思いつかないもんでしたけど、スケールが大きくなってくるとこんなことにもなるんだっていうのが見るとわかります。
最後の舞台はカンニングの世界大会みたいな感じでちょっとウケますが、カンニングがビジネスになりえるんだっていうのはちょっと開眼した気持ちです。
いえ、もちろん悪いことですかから真似しようとは思いませんけどね。
発想としては参考にしてもいいと思いました。
映画の内容ではカンニングがスケールアップしていくところも見ていてよかったのですが、それと同時におこる主人公の心境の変化も見どころかと思います。
主人公のリンが最初にさせてあげたカンニングは可愛いものだったんです。
でもお金が入ってきたりリンを頼ってくる人が増えるとどんどんそのスケールは大きくなっているんですね。
始めはあったリンの罪悪感みたいなものはいつの間にか消えてしまっていました。
そこにリンの父親に叱咤され全うな道に戻ろうとするも周りの誘惑やお金にまけ世界へでてカンニングを手伝うこととなります。
しかし最後に気づくんですね、自分のせいで多くの人の人生を狂わしてしまったんだなと。
特に身近の元々は勤勉優秀であった人も自分の行いのせいで間違った道を行っているのを目の当たりにし、ようやく全てを終わらせようとある場所へ向かいます。
お金だったり友情だったり、私たちの周りでもよくある要素に惑わされるリンの心は共感しやすくカンニングさえも応援したくなってしまいました。
「バット•ジーニアス危険な天才たち」を見るには
この映画が2017年5月にタイ本国で公開されヒットしたことをきっかけに同年、中国や韓国,アメリカなどでも次々上映されました。
そして今年ついに日本上陸ということで、きたる2018年9月22日から全国の映画館で上映予定です。
上映される映画館はホームページで確認できます。
→バットジーニアスの日本版ホームページ
こういうストーリーが進むにつれて徐々にスリル感が加速していく映画は見応えあります。
画面から一度も目を離さなかったのも久しぶりで時間も忘れて見終わってしまいました。
見終わったあと事実を元に構成されたストーリーということがわかり早速調べたわけですが、壮絶だった映画をもう一度見ているかのように事実も調べていてハラハラするほどでした。
実はSATではこの後の2015年、2016年にもアジア地区でのカンニング事件が発生しています。
そんなに連続で事件が起こっては、やる方もやる方ですが取り締まりはどうなっているのか疑問に感じてしまいまうところですが、組織ぐるみでやられてしまうと結構防ぎようもないのかもしれません。
身内に裏切り者がいれば簡単に試験問題など漏れてしまいそうですからね。
しかし真面目にやっている人からしたら大迷惑ですからなんとか事前に取り締まってほしいものです。
内モンゴルの草原からでした。