ウシに注射する前に闘牛 内モンゴル農村に暮らす獣医の腕がピカイチだった

子供に予防接種とかで注射する時って暴れたり泣いたりして大変ですよね。
それでも子供は力がまだ弱いので大人がなんとか押さえつけてすませますがそれが動物だったらどうでしょう。
それもウシのような大型で力の強い動物だったら‥。

これは私が内モンゴルの農村部で生活しながら半年ほど放牧のお手伝いをしていた時の話です。

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家畜も夏バテします

ウシも人と同じように風邪を引いたり下痢をしたりと体調が悪くなる時があります。
それが特に多いのは熱い夏の季節。
モンゴルの夏は基本的に涼しいのですが、気持ちがいい日ばかりではなく昼は40℃近くまで気温があがることがあるのです。

そんな時は人ばかりでなくウシ達もバテバテ。
ウシも十分な水分を摂れれば体調を崩しにくいのですが、自由に飲める川の水は干上がってしまって人が与える井戸水しか飲めないことがあります。
川の水と違い井戸の水は、くみ上げる場所が少ないためウシが思うように飲めず、中には十分な水分をとれないウシもでてしまうのです。
飼い主も十分注意してはいるのですが、それでも全てのウシに存分に飲ませることは難しいため体力が落ち気味になり結果、体調を崩してしまうウシがでてきます。
水は生命の源とよく言いますがまさにそう。
体力が強いウシでも水が足りなければ調子をくずしてしまいやすいのです。

注射は誰

調子が悪くなった家畜は放牧せず家の囲いの中で安静にして過ごさせます。
餌を十分にやったり、栄養のある飼料を食べさせ回復させようとするのですが、それでも体力が戻らない場合は点滴や注射をしなければいけません。
しかしその注射が大変。
人と違って家畜は捕まえようとすると逃げ、注射を打とうとすると暴れて逃れたがります。
もしその家畜が羊のような小型の家畜だったらまだ扱いやすいのですがウシは大きく力が強いので捕まえるのも大変なのです。

捕まえるためにひと騒動

こちらのウシは日本で肉牛として育てられるものに比べて小さめ。
餌は飼料でなくほぼ草なのであまり大きく育たないのです。
それでも大人のウシでは体重200キロをゆうに超していて人の子供のように簡単には捕まえさせてはくれません。
大人が3、4人かかって壁に追いつめウシの角を捕まえ動きを止めそのスキにみんなで抑えにかかります。
角を捕まえれば捕獲はほぼ成功したも同じなのですが、それが結構な難易度。
ウシは壁に追いつめられると身の危険を感じ人と人の間の空間を狙って逃げようとするのです。
しかもその大きな体で突進してくるので角をつかむのも安全ではありません。
必死で逃げようとするウシの行く道を遮るのはとても危険ですし勇気がいります。
私も初めはなかなか迫るウシ一歩を踏み切れずにいました。

ウシの弱点を握る

一人がタイミングをうまく計り追いつめたウシの角をつかむと他の人は耳やしっぽ、鼻の穴といったウシの弱点をつかみウシの動きを止めます。
弱点を握られたウシは痛くて身動きがとれませんがそれでも時折思い切って逃れようとすることも。
しかし弱点さえ力を入れてしっかり握っていればなかなかウシも力が入らないらしくまず逃げられることはありません。

となりの村の獣医

弱点を握られ身動きが取れなくなったウシでも強烈な痛みを感じると猛烈に暴れることがあります。
ウシに打つ注射も針が太いので皮膚に指すと激痛を感じるのでしょう。
大体のウシが注射針を刺した瞬間に痛がって暴れようとします。
人が押さえ込めればいいのですが時にはウシの力が勝り、逃げられてしまう時も。
そんな時はまれに人も突き飛ばしたりして怪我をしてしまうので危険なこともあります。

しかしたったの一度だけ注射を打つ時にウシが全く暴れなかったことがありました。
それは隣の村の獣医がたまたま居合わせたとき。
隣村の獣医の注射の仕方がとても鮮やかだったのです。

簡単!簡潔!注射の打ち方

普通に注射針をブスッとさせば痛みを感じるのでウシは必ず反応があります。
しかしその隣村の獣医はウシに痛みを感じさせないように注射する方法を知っていました。
それは注射針を刺す直前にウシを一度殴るのです。
注射器を握った拳でウシを一度どつき、すぐさま殴った場所に注射ばりを指す。
ウシを殴って鈍い痛みを感じさせ、それによって注射針の鋭い痛みを麻痺させているのです。

こうすればウシは全く針の痛みを感じないようで注射針を刺しても全く動じていませんでした。

ウシをどつくのは誰でもできそうですが、その痛みが消えないうちに注射針を刺す早業は誰でもできるというようではないでしょう。
ウシに注射を打つのは獣医でない人でもやりますが、その時に必ず一悶着ありいつもウシとの格闘があったのですが、この時ばかりはこの獣医のおかげであっさりと治療が終わりました。

内モンゴルのどの農村にも獣医がいるわけではないので、ウシや羊への治療は一般の牧民でもやってしまいます。
しかし技術的にはやはり獣医の方が高いですし、その腕は見事なもの。
専門家はやはり専門家なのです。

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